1ヶ国目のドイツでは、やはり、幼児教育の原点を体感できたことが大きな成果だったようです。バート・ブランケンブルクにあるフレーベル博物館と教会において、フレーベルの考案した恩物(教具)の誕生経緯やねらい、世界初の幼稚園の様子について、講話を聴き、実演を食い入るようにして見ながら理解を深めました。2ヶ国目のチェコでは、プラハの天文時計が印象的だったようです。時計に飾られている人形から、プラハの人々の死生観を学びました。その後、訪問したチェスキークルムロフの街並みは圧巻で、橋から見下ろせる絶景に見とれました。3ヶ国目のオーストリアでは、ウィーンの歴史を堪能することができました。シュテファン大聖堂では、祭壇に祭られている方々や第二次世界大戦からの復興物語に感銘を受け、シェーンブルン宮殿では、豪華な家具や装飾にハプスブルグ家の繁栄を体感しました。
さらに3ヶ国それぞれにおいて、幼稚園に訪問しました。学生たちは、園の先生方に熱心に質問をしていました。また、子どもたちと心を通わせようと、子どもたちの反応を丁寧に汲み取りながら、折り紙や手遊び、ダンス等、様々な方法で積極的に関わっていました。そのようにして言葉の壁を乗り越えて子どもたちと交流できたことは、保育者になることへの自信に繋がったようでした。帰国後の海外研修の成果発表に際しては、3ヶ国共通の特徴として、縦割り保育の積極的な導入、移民の子どもへの対応、主体性を大切にした保育を挙げ、今後に活かしたいと考察していました。
今回海外研修に行った3年生は、高校生活後半にコロナ禍に突入し、遠方の修学旅行や大学1年次の学外研修を経験していない学年です。彼女たちにとって10日間の海外研修は、特別楽しみな機会であると同時に、集団生活への不安も合わせ持つものでした。しかし、日ごとに人間関係の幅を広げ、互いに気遣い合う姿が多く見られ、この研修期間中に自立心、コミュニケーション力、チームワーク力を確実に伸ばしていました。ヨーロッパ3ヶ国の教育、歴史、文化を理解し、視野を広げることはもちろんですが、他者との関わりを通して自分と向き合い、人間的に成長できることも、この研修の意義であると感じました。
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